Repair report
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- 文化財修復報告
平安時代後期以後より残る数々の貴重な書物や絵図等の文化財。
その中から国の重要文化財に指定されている2点を国庫補助にて修復いたしました。
紙本著色祇園社絵図平成27年5月7日~平成29年3月31日修復
本文化財は、本殿を中心とし、題箋の文字が読めるように置いた状態で上方を北、下方を南として描かれた京都・八坂の祇園社絵図である。現在は掛軸装であるが、もとは折畳み装であったものである。
本紙裏面には元徳三年(1331)の墨書が確認できる。この墨書と建物の構成から本作は元徳二年(1330)の神殿汚穢によって、仮殿に遷座した際の様子を描いた絵図であると考えられる。
応仁元年(1467)年に焼失したとされる大宝大塔や天文十三年(1544)に水害に遭った鳥居など、現存しない建物も描かれており、祇園社境内の変遷を知る上で貴重な情報を有する。
祇園執行日記 九冊平成27年5月7日~令和2年3月12日修復
八坂神社所蔵の祇園執行日記は、中世後期の京都の社会や経済、文化に関する重要な史料である。
修理前の状況は、虫損による料紙の欠失が著しく、本紙の擦れや紙縒りの外れなど、経年や使用に伴う損傷が生じていた。
今回の事業では、今後の展示などの多様な活用が期待されるため、本紙の解装、料紙の欠失箇所には補修紙を作製し補紙を施すなど本紙を安定した状態にし、裂貼四方帙や桐倹飩箱を作るなどの保存修理を行う。