「祇園さん」として古くより京都の人々に親しまれてきた八坂神社は、本殿(国宝)をはじめ境内外に多数の摂社(せっしゃ)末社(まっしゃ)を有し、その多くが重要文化財に指定されております。
日本三大祭でもあり、世界的にも有名な祇園祭(ぎおんまつり)は疫病(えきびょう)が鎮まるようにとの祈りを込めて約1150年前(平安時代)にはじまった当社の祭礼です。
八坂神社の主祭神・素戔嗚尊(すさのをのみこと)は、往古牛頭天王(ごずてんのう)とも称し、また薬師如来(やくしにょらい)を本地仏(ほんちぶつ)として、人々の疫病消除(しょうじょ)の祈りを聞き届け、多くの祈りはやがて祇園信仰となりました。
近代に入り神と仏は明確に分かたれ、祭の作法は変わりましたが、このコロナ禍を契機に、神仏への祈りの心は、祇園祭がはじまった平安の昔と少しも変わるところのないことを感じた方も多いのではないでしょうか。
八坂神社では今も祭礼を通して氏子の皆様の暮らしに息づく祇園信仰を要に、神仏が相和(あいわ)して人々の祈りに応えた時代に照らしながら、大神様の御神威(ごしんい)を遍(あまね)く人々の元に届け、氏子崇敬者の皆様の心豊かな生活に貢献できるよう努めて参ります。
八坂神社 宮司 野村明義